自己啓発

【書評】5年後、メディアは稼げるのか(前編)

NEWSPICKSという経済メディア、および東洋経済オンライン元編集長の佐々木さんが2013年に書いた、「5年後、メディアは稼げるのか」という本を読みました。5年前に書かれて本なので、今がちょうどその5年後に当たります。

転職後、Webメディアの事業に関わる立場上、参考になる書籍を読みたいと思い、この本に出会いましたが、ざっと整理したいと思います。

これからの5年(これまでの5年)で、日本のメディア業界が激変する

テクノロジーの進化により、単にメディアは「紙」から「Web」へ置き換えられただけでなく、メディア業界の形そのものが変化すると、書いてありました。Webメディアが台頭することで、新しい稼ぎ方が求められるようになりました。

ウェブの時代に、メディアが稼ぐのは、とんでもなく難しいと書かれています。いまやFacebookやインスタグラムなどのSNSが主流となり、個人で活躍するブロガーなども数多く出てきているからです。これまで、マスコミしか発信する権利がなかった情報を、影響力のある個人が自由に発信できるようになりました。情報は飽和し、質の低い情報は、人々から必要とされなくなります。

①コンテンツが王様→コンテンツとデータが王様

従来、コンテンツづくりに100%の力を注いでいたらよかったものが、デジタル化が進み、どの記事が誰に、どのタイミングで読まれているか、滞在時間はどのくらいか、などのデータが掛け合わされるようになりました。

従来の雑誌や新聞の場合、出版してしまって店頭に出回ってしまえば、あとは売りっぱなしというモデルでしたが、Webの新世界では、コンテンツを作成した「後」が非常に重要になってくると筆者は述べています。

そのコンテンツが結果的にどのくらいクリックされたかなどのデータや知見を元に、さらにブラッシュアップして新たなコンテンツを作るPDCAサイクルが必要になります。

②会社→個人へ

これまでは「○○社」の雑誌、というくくりだったのが、Webになることで、「○○さんが書いた記事」という風に、「誰が書いた内容か」ということが重要視されるようになります。デジタルの世界では、媒体まるごと読む習慣が薄れ、レストランでいうコース料理ではなく、アラカルトのように、各媒体をつまみ食いしながらニュースを消費するようになります。

③編集とビジネスの双方の知見のある人材の需要が劇的に増す

これまでは、雑誌を取材して、編集だけして、面白いコンテンツづくりに100%の力を注げば問題なかった時代から、データに基づいた、よりマーケティングとビジネス的な視点で、コンテンツを作る必要があります。編集とビジネスの両方できる人が生き残れる時代です。

いろんな人やアイディアを組み合わせながら、新しい企画を生み、それを実現していくのが編集者。ここにデジタルが混じることで、コンテンツ、広告、テクノロジーなど異なる要素の最適な組み合わせを見つけ出す。一流の編集者は、一流のビジネスクリエーターになる素質があるとおっしゃっていました。

Web事業を伸ばすための戦略あれこれ

これらの内容を踏まえた上で、ここで得た知見をどのような形で仕事に生かせるか、考えてみました。

①速報よりも、クオリティの高い第2報

新聞とは違い、雑誌やマガジンの場合、情報の即時性にはどうしてもかないません。通信社や新聞社ではない限り、最新の情報をスピーディに手に入れることにおいては、かないません。そのため、「情報そのものをスピーディに伝える」というところの価値ではなく、「クオリティの高い第2報」、つまり、新聞や他の媒体にはない分析や視点、ストーリーを加え、第二報を売りにすることに注力する。これは、実際に東洋経済オンラインがPV数を10倍以上に伸ばした時の戦略だそうです。

②Webの場合、タイトルが10倍重要

紙の場合、全体的なデザインや、写真の配置、文字のフォントなどが重要出会ったのに対し、ウェブの場合は、その記事がそもそも読まれるか否かは、冒頭のキャッチに全てがかかっています。タイトルを見て、「面白い、読みたい」と思ってもらえなければ、チラ見すらしてもらえない状況です。

③一貫性よりも多様性

雑誌とは編集長そのものだ、と言われますが、ウェブ媒体は誰のものでもなく、もっと流動的な媒体です。ウェブ全体を「俺色」に染めるよりも、多様な人や考え方が共存する空間づくりに専念したほうがいいとのことです。ウェブメディアにとって大事なのは、一つの方向性に読者を誘うことではなく、ざまざまな意見を読者に提供し、読者の頭の中を刺激することだとおっしゃっていました。

米国から学ぶ、紙媒体とWeb媒体の違いやあれこれ

米国の事例をもとに、日本で今後どのようなことが起きるのか論じていました。日本よりも10年先にを行っている米国。ベトナムは、日本よりもかなり遅れていますから、日本で5年前に起きていた変革が、ベトナムでは今まさに起きようとしているのでしょう。

①紙の100万円が、ネットでは10万円になる

これは非常に納得しました。紙の急激な衰えに合わせて、メディア各社にとって誤算だったのは、オンライン広告の単価の安さです。オンライン広告が紙の衰退の穴埋めをしてくれる、というバラ色の将来は幻で、紙で100万円だった広告が、ネットでは10万円、さらにモバイルでは1万円になるという、100:10:1の法則というものが、米メディア業界では皮肉られていました。逆に言えば、紙の広告は、断然儲かるおいしい商品なのです。

②ウェブの単価が安い2つの理由。

一つ目の理由は、需給のバランス。ウェブは紙とは違い、無限大にスペースがある一方、広告を出したいクライアントの数には限りがあるため、需給のバランスが崩れ、値段が落ちます。

二つ目の理由は、巨大テクノロジー企業の存在。GAFAと呼ばれる、Googleやfacebookという企業を含め、ウェブ広告では、2012年時点ですでに、上位5社がウェブ広告の64%のシェアを占めているのです。たしかに、googleアドセンスや、Facebook広告などは、我々も自然と使うツールですし、これらの代行するサービスも、薄利多売で終わってしまうビジネスモデルになります。

③動画コンテンツの拡充

近年ニュースサイトで注目を浴びているのが、動画コンテンツ。動画は読者をひきつける力があるだけでなく、バナー広告などに比べて、単価が高いという特徴があります。

アトランティックの事例

月刊誌、「アトランティック」を発行する、米アトランティック・メディア・カンパニー。1857年に創刊された老舗出版社ですが、デジタル時代の勝ち組としてスポットを浴びているそうです。

興味深いのは、デジタル媒体での広告収入を65%も出しながら、紙の部数も伸ばしている点です。2012年の部数は、前年比4・7%となる48万部を記録しています。

広告営業では、紙とデジタルの垣根をなくし、どちらを売ってもいいので、予算を達成することを最優先に、という方針に切り替える大変革をしました。

コンテンツ面では、メインのサイトに加え、ニュースやオピニオンを集めたニュースサイト「アトランティック・ワイアー」、都市や旅行に特化した「アトランティック・シティ」がスタート。また、グローバルエリートを対象に絞った、スマホ向けニュースサイト「クオーツ」を立ち上げ。サイトの無料化とともに、各サイトともに右肩上がりでトラフィックは上昇しました。

2013年には、各サイトの合計UUが2000万人を突破する快挙を遂げました。

ビジネス・広告面では、紙・デジタル、イベントをパッケージにした提案を強化し、企業な多様なニーズに対応。デジタルだけでは単価がやすくなりがちなところを、紙やイベントなどと組み合わせることによって、ビジネスの規模を大きくしていきました。事実、急増するオンライン広告と歩調を合わせるように、紙の広告売り上げもアップしていきました。紙とウェブが必ずしも食い合うわけではないことを証明したと言われています。

フォーブスの事例

フォーブスのデジタル戦略の核となったのが、徹底的なオープン戦略と、データカルチャー。バラエティに富んだ寄稿者が年間10万本もの記事を生み出し、膨大なページビューへとつなげています。

こうした戦略の根底にあるのが、「消費者の声を聞く」というコンセプト。大事なのは、「記事を誰が書いたか」よりも、「記事が読者にとって有益かどうか」ということ。

読者が欲しいのは、その分野について、もっとも詳しい人の意見。ITであれば、IT業界になりたての記者がまとめたITの記事よりも、IT業界に詳しい業界関係者の書いたコラムのほうが、読者のニーズに合う可能性がある。二流以下のジャーナリストは、一流の業界関係者にはかなわない。

こうした出版のプラットフォーム化にともなって、編集者の役割が変わったと言います。編集者の役割は、キラリと光るタレントを発掘し、マネジメントすることに比重がうつっています。芸能事務所へのスカウトとマネジャーが一緒にしたような仕事で、編集者はこれまで以上に目利き力が問われるようになったと、述べています。

起業家的ジャーナリズムにおいては、記者や編集者は、コンテンツクリエーターであり、プロデューサーであり、プログラマーであり、マーケターであり、プロモーターであり、その全てができなくてはならない、とのことです。

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